第ニ章 ル-プ
5/4
結局なにもわからない。
ただ、生きてゆく。働いて、食べて。
さて、こないだ、働いている店に来ているおじさん客に、『歳は同じでもさ、あんたの父さんと俺とどっちが若く見える?』と質問されて、すぐには答えられなかった。びっくりした。わたしの記憶の父は、45歳で止まっているから。今 生きていたらどんなおやじになってるんだろうと思ったけど、いくら考えても想像できない。夢にはいつも出てくる。家族と共に。だけど、いつも輪郭がはっきりしない。父は、夢の中でだけでも元気でいればいいのに、私の脳はそれを許さず、ぐにゃりとしている。ぐにゃりとしてばかりいるから 不安になる。
私と父さんなんて、全然似てないと思ってたけど、最近は似ているなぁと思う事が多い。
娘の私でも父親というものの欠如をこんなにも考えるのだから、母さんなんて、ほんとにやっぱりさみしいだろうなと思う。でも 別になにもしてあげられない。父親とは、あんまり話ができなかったから、
わたし死んで、会うのを楽しみにしているというのは、あながち冗談ではありません。だから、母さんも少し
はそんなことを考えているかもしれない。とかなんとかロマンチック風味だけど、ロマンは大事。明日は命日。
あと こないだ、女が男にもてる絶対的な技を発見した。
5/5
父の命日。毎年さりげなく過ごしてきたけど、今年は何かいろいろと自分にのしかかるものがあって、どうも調子の出ない一日だった。年齢?そう、5月は、誕生日もあるから。気持ちがどこかに飛んじゃって、仕事中、いろんなものを落としまくった。”モノがうまく 掴めない”なにかを握りしめることなんて、所詮できない。だから、動き続けなければならない。なのに、おなじところをいったりきたり。
ぼ-っとしに 夕方、缶ビ-ル片手に 屋上へ。
夜へ向かう風景それは
"だんだん光と影がはっきりしていく。"
5/6
同じ労働場のおとなしい若い娘が、いきなり”へそピアス開けたんです、見ます?”と言ってきて。
5/7
今朝、目をさますと、表で、ジャブジャブという音がしてたから、あ--
雨だなぁと思ってた、カ-テンを開けてのぞいてみたら、一階の大家さんちの庭の池の水替えの音だった。池のでかい金魚があせってた。でもほんとに雨も少し降ってる。黒いカラスがベランダのハンガ-を取りに来た。巣作りの材料なのだろう。
5/8
変な天気のせいか、お腹と腰がだるい一日だった。疲れのせいで、悪態をついた。口は災いの元。
なにか本が読みたくて本屋に行った。
今の気分に合いそうなのがみつからず、結局読んだ事のない宮部みゆきなんぞの短編集を買ってみる。なかなかに怖い内容で、いやな気分になった。気をとりなおそうとテレビをつけると(所詮テレビなんぞで、気がとりなおせるはずはなく) 宜保愛子の番組。見えないものにとりつかれてる人、見えないものを扱う人。見えないものサ-クルは、いつの時代もあるんだろうな、と思いつつ、明日は幽霊ネタの芝居を見に行くことを思い出した。
5/9
安部公房。
5/10
咲かない鬼畜花 憂い 拝む。
5/14
なかなかに寒くなったり暑くなったり、季節がぐるぐるしている。本日 新しい眼鏡を購入。よく見える。見えているよ、よく。多少新鮮な気持ちでベランダで煙草を吸う。コウモリがふわふわと飛ぶ。近所の小学校の高学年の子が ”バイバーイ”と言いながら帰路につく。豆腐やが『プゥー』という。別に人生に意味なんてないんだよなと実感して笑ってみたりした。隣人女が電話してるのが聞こえた。元気そうである。隣人女とは関係ないが、最近 私は、男達の夢ばかりみて困っている。この間は、数人に襲われる夢をみて、怖かった。男の夢だからといって楽しい夢とは限らない。そんなこんなを思ったりして、余裕ぶっこいていたら、ふるさとの母から電話がきて久々に話をしたんです。またもや暗雲たちこめて・・・。
しかし、昨日会って話しをした、某劇団のMちゃんは、ものすごいいきおいで演劇にとりつかれてがんばっていたので、刺激的でした。私のとりまく状況を半分ばかにされた。だから、いましめに腹筋した。毎日いましめ。こんなこといってるから、毎日楽しくないんだろうか。ちょっと気を抜くと 私、なにもかもがくだらなく思えてしまう。いやいや楽しい時もあるにはある。。。。。。かな。
5/20
先週は、いくつかの芝居を観に行ったり、その後酒を飲んだり、とある男性と食事をしたりと、いろいろな価値観に出逢い、めまぐるしかった。
5/21
仙台に帰る。複雑に重い物をかかえ。
5/22
墓参り実行。母親と、駅裏の、やっているのか やってないのかわからないそばやに”やってますか?”と言いながら入り、向かい合ってそばを食べる。
5/23
実家の周りを散歩する。近所の仙石線は、すっかり地下にもぐり、古いアパート群は取り壊されて、ただっぴろい空き地になっていた。
5/24
祖母がいきなり寿司をおごってくれた。いい寿司だったのに、いろいろと気が重かったせいか、大好きな魚が生臭く感じた。さりげなく酒をのんでごまかした。祖母は私が酒を飲んでいるのには気付いていないようだった。夜は東京に戻った。
5/25
妹との約束が、果たせていないから明日を迎えたくない。夜、彼氏とニーチェや、安部公房や、実存主義や、中原中也や、戦後や、区民税のことを話した。
5/26
否応無しに朝というものが来る。裁かれる夢を見た。大家さんちの池の金魚は死んだまま放置されて、一週間。
5/28
ニーチェの話なんかしてなにがおもしろいか、我。
金魚もまだ生きてたし。よく見ろよ、我。
誕生日にひとりぼっちなのは、日頃の行いが悪いからだろ、我。
笑いが止まらない。
今日も愚民の大行進。
5/29
休みだったので、昼間 酒を飲んだら、だるくなった。けど、昼寝して、気を持ち直して自転車こいで、稽古したらしい。

Copyright(c)2001-2005 コリノタクト All rights reserved.